ホリデイ・トレッキング・クラブ

活動レポート

The Grace
2013年夏 愛知県名古屋にて

とても暑い夏の日でした。この数日夏の暑さがゆるんだ東京から出かけた名古屋は猛暑でした。会場は元給水塔...だからと言うわけではないのでしょうが、中に入ったときにはとてもほっとした気持ちになりました。それと同時にそれまで、暑さに隠れていた、初めてのプレイバックシアターのグループに参加することへの、ドキドキ感やワクワク感が小さな不安とともにわたしの中に浮かびあがってきました。

The Grace(ザ・グレイス)はTheatre Grace(シアター・グレイス)として2010年4月に「jin」をリーダーとして、「maria」と共に設立されました。jinが初めてプレイバックにであったのは2003年に「むーみん」が開催したパフォーマンスでショート・フォームのテラーになったのがきっかけだったそうです。その後、「そのま」とともに名古屋プレイバックシアターの設立にかかわったり、大阪プレイバックシアターにも参加されていたこともあるそうです。私がjinに初めてお会いしたのは、ジョナサンがコンダクターで名古屋プレイバックシアターが公演したときですから、それ以来随分と経ったものです。

ワークショップ会場に入りました。なにか、いつもと違うのです。みなさんが自己紹介しに私のところにきてくれてとても嬉しかったのですが、そういうレベルではない何かを感じたのです。このときはそれがなんなのか、なぜなのかまったく分かりませんでした。あえて言うなら受容的とでもいうか... 言葉にすると感じがまた違う感じなのですが... 適度な距離感とでもいうか... 集団の中に居ながらにして、自分自身であることができる... といったらより近いかもしれません。

「心の中に沸き起こる宇宙観を目指したい...」。jinはそう思ってシアター・グレイスを設立したといいます。今、目指していることは、社会の中で置き去りにされがちな、一人ひとりの「小さな気持ち(痛み)」に光を当てて、そっとすくい上げたい。その「小さな気持ち(痛み)」をプレイバックでキラキラ煌めく輝き(愛)に替えて、分かち合いたい。愛を持って寄り添い、テラーを抱きしめ、幸せを祈りで包みたい。そして、本当につらくて、つらくて人には簡単に話せるようなことではないけれど、その痛みを愛に変えて祈ってくれるこの人たちなら大丈夫だ、と思ってもらえるような劇団になりたい。私たちのプレイバックは「愛の祈り」なんです。だから名前はGrace=祈り、だと。

私の感じたのは、この愛なのかもしれません。

jinはワークショップの冒頭でいきなりグループを非日常の世界に連れて行ってしまいました。案内にあった「jinが織りなす、壮大な宇宙観」だったのでしょう。私はよく、「結界を張る」という言葉で表現することがあるのですが、そう言ってもいいかもしれません。あっという間に、語るために、表現するために、自分自身と向き合うために、安全な空間を生成させてしまいました。私たちは多くの場合、ウォーミングアップのために細心の手順を踏んでその空間を構築していこうとします。経験的に不十分な導入が望む結果をもたらさないことを知っていますが、こんなグループ、そんなにあるわけじゃない。驚きです。尊敬し、そして惚れました。

このイベントはシアター・グレイスからザ・グレイスとして再出発して最初のイベントでした。ザ・グレイスでは、より劇団の目的にフォーカスしたグループを作るため、月2回終日の定例稽古を必須として行い、1回は、パフォーマンスのための稽古を行い、1回は、グレイス・エデュケーションとして、プレイバックの基本や愛の温かさを学ぶ機会として行っています。お稽古は、今回の会場になった名古屋の演劇練習館アクテノンや亀山市文化会館で開催しています。また、その月の定例稽古に参加できないメンバーには、別の日にフォロー・アップとして、お稽古の機会がさらに設けられるそうです。時間的なコミットメントだけでなく、グレイスの価値観やグレイスの表現を共有すること、プレイバックの活動に優先順位を置くことへのコミットメントも求められます。何より、人の気持ちを察して主体的に行動するセンスのある人をメンバーにして、The Graceとしてこの6月14日に再出発したのだそうです。

自分の中にある神(=愛)を信じて、「愛すること、愛されること」を味わってほしいと、今回のイベントは企画されました。「Act of Service」を持ち出すまでもなく、プレイバックシアターは利他の手法であり、それを大前面に打ち出したグループにコミットしているメンバーだからこそ、部屋に入った瞬間に感じたあの居心地のよい雰囲気を作れたのかもしれません。スキルや手法に注目しがちな私たちが、プレイバックをすることで、本当に重要なことは何なのかを振り返る機会をも与えてもらいました。

最後に、日本のプレイバック仲間に伝えたいことは?と尋ねたとき、「今の自分たちに余裕はないのですが、それぞれの仲間が懸命に目指して活動していることを応援したいと思います。」と答えてくれました。余裕がないと言いながら、利他の精神を語ってくれました。機会があったら、ぜひみなさんもザ・グレイスを訪ねてみてください。とくに、これからグループを作ろうとしている人にはお勧めです。

(文:櫻井靖史)

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